2025年12月22日
実は知らない?年越しそばの由来と正しい食べるタイミング
大晦日の風物詩ともいえる「年越しそば」ですが、「そもそもどんな意味があるの?」「食べるタイミングって決まっているの?」と疑問に思ったことはありませんか?詳しいことはあまりよく知らないという方も意外と多いです。
そこで本記事では、年越しそばを食べる「タイミング」や「由来」、一般的な「正しい食べ方」などをまとめました。地域により異なる文化や風習があるので、その意味や由来を知ると、いつもの一杯がぐっと特別なものに感じられるはずです。
年越しそばを食べるタイミング

結論からいうと、大晦日(12月31日)のうちであればどの時間帯に食べても問題ありません。最も一般的なのは「大晦日の夜」ですが、地域や家庭によって違いがあり、絶対的な決まりはありません。
年越しそばはなぜ食べる?
年越しそばの由来には、いくつか説があります。
①長寿祈願
もっとも一般的に知られているのは「長寿祈願」です。細く長いそばのように「健康で長く幸せに暮らせますように」という願いが込められています。
②厄を断ち切る
そばは麺の中でも比較的切れやすい性質です。そのため、「一年の厄を断ち切る」という意味が生まれたという説があります。悪い運気をスパッと断ち、新しい年を迎えるための“厄払いの料理”と考えられていたのです。
③金運アップの縁起物
金銀細工の職人が、作業中に散らばった金粉をそばで集めていたことから、“金を集める=金運が良くなる”という縁起を担ぐ意味が派生しました。商売繁盛を願う文化が年越しそばと結びつき、今に受け継がれています。
年越しそばの起源は「江戸時代」

年越しそばの風習は、江戸時代が始まりと言われています。月の満ち欠けで暦を決める旧暦では、月が隠れる三十日目を「晦日(みそか)」と呼んでいました。毎月の晦日にそばを食べることで悪縁を断ち切り、新しい月を気分よく迎えようという、ゲン担ぎの風習として誕生したのが、「晦日(みそか)そば)」です。
当時はゲン担ぎだけでなく、自分の行動や生活を振り返って翌月の目標を立てたり、節目を意識して心をリセットしたりするなど、日々をよりよく過ごすための習慣としても取り入れられていました。
旧暦から新暦に変わったことで「晦日そば」の風習は徐々に失われていきましたが、1年を締めくくる12月の晦日「大晦日」だけは年越しそばとして現在も引き継がれているのです。
大晦日以外に食べる地域も

「年越しそば」は大晦日に食べるのが全国的にも多数派ですが、地域ごとに特色があります。会津地方の「元旦そば」、新潟県一部地域の「十四日そば」、香川県の「年明けうどん」など、地域によっては年明けに食べるところもあります。それぞれの特徴をご紹介します。
■福島県|元旦そば
福島県会津地方の一部では、新年を迎えた元旦にそばを食べる「元旦そば」という文化があります。元旦にそば、2日目にお餅、3日目にとろろを食べることで、新年の健康と豊作を祈るという「元日そば、二日もち、三日とろろ」という言葉から来ています。
長寿を象徴するそばを新年最初の食事として家族で味わうことで、幸せな一年を願います。現在でも多くの家庭で受け継がれている、会津地方ならではの特別な文化として親しまれています。
■新潟県|十四日そば
新潟県の一部地域では、1月14日に無病息災を願って食べる「十四日そば」という文化があります。これは、大晦日近くまで農繁期が続いた地方で、1月15日の小正月を本正月として、前日の14日に年越しそばを食べる習わしがあったことが由来です。
■香川県|年明けうどん
香川県では、年越しそばではなく「年明けうどん」という、うどん県ならではの文化があります。元旦から1月15日までの間に、紅い具材をのせた“うどん”を食べることで、新年の幸福や健康を祈るというもの。
2008年頃からさぬきうどん振興協議会によって提唱されたうどん業界のPR要素が強く、いわゆる年越しそばやおせち料理といった日本の伝統文化とは少し異なりますが、“うどん”は、太くて長いことから古来より長寿を祈る縁起物として食べられてきました。
年越しそばの正しい食べ方ってある?

年越しそばは、上記のように地域や家庭により食べるタイミングは異なります。ここでは、一般的な大晦日に食べる時の注意点と一緒に食べると縁起の良いと言われている食材を紹介します。
①年をまたがずに食べきる
年越しそばは、一般的に「年をまたぎながら食べるのは縁起が良くない」と言われています。1年の区切りをつける料理のため、大晦日のうちに食べ終えるのが理想です。
②残さず食べきる
年越しそばは、残さないことも重要なポイントです。年越しそばを残してしまうと「一年の幸せが逃げる」「新しい年に金運に恵まれずに苦労する」と言われています。しっかり食べきれる量を作り、おいしく残さずいただきましょう。
③1本を切らずに食べる
年越しそばは、1本のそばを噛み切らずに食べるようにしましょう。細く長いそばは、「縁」と深く関係しています。より良い縁を断ち切らないように、1本を嚙み切らずに口に含んでから、食べるようにしましょう。
一緒に食べると縁起の良い食材
年越しそばでさらにゲンを担ぐために、以下の縁起の良い食材と一緒に食べるのもおすすめです。一緒に食べることでそばのおいしさが引き立つだけでなく、彩りも良くなってさらに美味しくいただけますよ。
■ネギ:年の苦労をねぎらう・邪気を祓う
■ゆず:邪気を祓う
■油揚げ:お稲荷様の好物=商売繁盛・五穀豊穣・家内安全
■海老:長寿のシンボル
■紅白かまぼこ:紅=めでたい、白=清潔
■春菊:旬の食材=繁栄
各地域の年越しそばの特徴

ここでは、各地域で食べられている年越しそばの中でも、特に個性的で有名なそばをご紹介します。
京都府・北海道|にしんそば
にしんそばは、かけそばにニシンの甘露煮を乗せた年越しそばです。ニシンの名産地である北海道だけでなく、京都でも身欠きニシンを使った「にしんそば」が名物です。
京都では上品な薄口醤油を使われるのに対し、北海道では関東風の濃口醤油でほのかに甘い味付けをするのが一般的です。北海道の郷土料理として昔から親しまれてきました。
ニシンには「二親」という漢字が当てられ、多くの子ども(数の子)を残すことから、子孫繁栄の象徴とされています。また、「春告魚(はるつげうお)」という別名を持ち、春の訪れを知らせる縁起の良い魚としても親しまれています。
島根県|釜揚げそば
「割子(わりご)そば」で知られる島根県では、茹でたそばをそのままゆで汁と一緒にお椀に入れ、甘辛いそばつゆをかけて食べる「釜揚げそば」が有名です。
トッピングに鰹節やネギ、海苔をかけ、アツアツの状態で食べます。栄養たっぷりなそば湯と一緒にいただくことで健康や美容にも良いそばです。
岩手県|わんこそば
岩手県では、日本三大そばのひとつである「わんこそば」が有名です。年齢の数と同じ杯数のわんこそばを食べると長生きできるという「年越しわんこ」の習慣がある地域も存在します。
福井県|越前おろしそば
福井県では、固めのそばに辛味大根をおろしたものと、たっぷりのネギや鰹節を乗せて食べる「越前おろしそば」が有名です。少々黒っぽくコシのある越前そばは非常に食べ応えがあり、辛味大根や薬味との相性抜群で、さっぱりとした味わいながらも満足感があります。健康・美容面でも魅力的な年越しそばで、年末のご馳走として地元で親しまれています。
沖縄県|ソーキそば
沖縄で「そば」といえば「沖縄そば」。年越しには「ソーキそば」など、地元に根付いた沖縄そばを食べる風習があります。
まとめ|「うちの年越しそば」を楽しもう

年越しそばは、一年の締めくくりや、新しい年を迎えるための縁起物として楽しまれてきました。そばの細長い麺のイメージや、手軽に食べられることから、江戸時代から根付いている習慣です。地域によって食べるタイミングや味わいも異なるので、各地の文化の違いも楽しみながら、ご家庭の年越しそばを特別な一杯として味わいましょう。
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